お店で化粧品の成分表を確かめながら、“これがいいかあれがいいか”考えていたところ、1人の店員さんが声をかけてきました。
店員さん「何かお探しですか?」
私「はい、セラミドがアトピーの肌に良いって聞いたんで、セラミド入りの化粧水を探しています」
店員さん「そうですか。でしたらこちらにいいものがありますよ」
基本断れない私は、ついつい店員さんについて行ってしまいました。
店員さんは1本4,000~10,000円もするような高い化粧品が並ぶコーナーに私を連れて行き、こう言いました。
店員さん「こちらの化粧水はセラミドを補給するだけではなく、肌の中から作っていく機能があるんですよ。私の友人にもアトピーの人がいますが、これを使ったらアトピーが治って化粧もできるようになったんですよ」
私「…そうですか」
私は店員さんの話を聞きながら『Dさんのな・がーいお説教があの世から降って来そうだ…』と思っていました。
(Dさんは今年の春に大往生しました。)
アトピーを患っている人なら、1度は“アトピーが治る”という商品を聞いたり目にしたりしたことありますよね。
私も同じです。
“基本はノンパラベン”にも書いた通り、私も最初は“肌に合う化粧品があればアトピーは治る”と思っていました。
でも、ある日、お医者さんからこう言われました。
「いくら肌に良いって言っても、化粧品は薬(治療薬)じゃないからね。湿疹を治すのは塗り薬(ステロイド剤のこと)。惑わされちゃダメだよ」
私は“ハッ”としました。
『そうだった…。Dさんも化粧品は薬(治療薬)じゃないって言ってた…』
今はネットでたくさんのアトピー関連の商品を見ることがあります。
その中には、店員さんのように「これを使ったらアトピーが治った!」という宣伝文句を使って、あたかもその商品がアトピーを治すように錯覚させる商品もあります。
でも…。
お医者さんやDさんが言っている通り、こうした商品は“アトピーの治療薬”ではありません。
もちろん、このサイトで紹介している化粧品をはじめとしたコスメもそうです。
敏感な私たちの肌をより良い状態に保つよう助けてくれるだけで、アトピーを根本的に治すものではありません。
そもそも、それを使ってアトピーが治るなら、厚労省が治療薬として認可しているはずです。
では、なぜ「これを使ったらアトピーが治った!」とい宣伝文句を使ったり、店頭で「これを使ったらアトピーが治った人がいるんですよ」と言う店員さんがいるのでしょうか?
個人的には、これは“アトピービジネスの1つ”だと思っています。
アトピー患者さんは毎日かゆみなどで辛い日々を送っています。
なかなか治る兆しも見えない中、ちょっとした可能性にもかけてみたい、藁をもすがりたい、という気持ちが強いと思います(私も前はそうでした)。
つまり、アトピー患者さんの弱みに付け込んでいるところもあると思うのです。
また、これらの宣伝文句はアトピー患者さんを引き付けるためのものですが、彼らは決して「これを使ったらアトピーが治った!」とは言いません。それを言ったら薬事法違反です。
アトピー患者さんがどうしても陥りやすい錯覚ですが、きちんと化粧品と治療薬の線引きをして、この2つを使い分ける必要があると思っています。
ラベル:アトピー 化粧品